不動産、売るか貸すか問題。
これ、本当に悩みますよね。
よく相談を受けるんですが、「どっちが得か」で迷っているように見えて、実は「自分はどっちを選ぶべき立場なのか」が分かっていない人が多いんです。
将来の価格がどうなるかを予想する前に、2026年時点ですでに決まっている制度や税金、コストを整理するだけで、答えはかなり絞れてきます。
結論から言うと、「立地」より先に見るべきは3つ
不動産を売るか貸すかの判断は、ほとんどの場合、次の3点で決まります。
- 住宅ローンが残っているか
- 賃貸にした場合、実際にお金が残るか
- いつまで持ち続けるつもりか(時間)
「駅から近い」「築年数が浅い」といった条件は、この3つを確認した後の、最後の調整材料です。
STEP1:住宅ローンが残っているなら、賃貸は原則不利
住むための住宅ローンが残っている家を、そのまま賃貸に出すことは、原則できません。
そのため、賃貸にする場合は、投資用ローンへの借り換えが必要になり、金利が年1〜2%程度上がるのが一般的です。
判断の目安
- ローン残高が、売れそうな価格の8割以上
- 金利上昇によって、返済額が月2〜3万円以上増える
この条件に当てはまる場合、賃貸にしても黒字になる可能性は低いと考えた方が安全です。
STEP2:賃貸にした場合の「実際に残るお金」を見る
2026年現在は、建築費や人件費の上昇により、修繕費や管理費が上がる前提で考える必要があります。
たとえば、家賃が月10万円で貸せたとしても、そのまま10万円が残るわけではありません。
年間収支の一例
| 項目 | 年間金額 |
|---|---|
| 家賃収入 | 120万円 |
| 管理費 | ▲12万円 |
| 修繕・メンテナンス | ▲15万円 |
| 固定資産税 | ▲12万円 |
| 空室(1か月分) | ▲10万円 |
| 所得税・住民税 | ▲20万円 |
結果として、ほとんど残らない、もしくは赤字になるケースもあります。
「家賃は入るけれど、資産は増えない」これは決して珍しい話ではありません。
「減価償却費」という見えにくい落とし穴
賃貸を勧める記事では、「毎月いくら残るか」だけが強調されがちです。
しかし、もう一つ大事なポイントがあります。それが、建物の価値が会計上、毎年下がっていくこと(これを減価償却といいます)。
これは実際にお金が出ていくわけではないため、普段は意識されにくいのですが、売るときに大きな差になります。
賃貸に出している間に帳簿上の価値が下がると、将来売却したときに「利益が出た」と判断されやすくなり、税金が思った以上にかかることがあります。
「賃貸中は問題なかったのに、売るときに税金で大きく減った」これは、毎月の収支だけを見て判断した場合に起こりやすい失敗です。
賃貸か売却かを考えるときは、今のお金だけでなく、最後に残るお金まで考える必要があります。
STEP3:売却した場合の「事前に分かるコスト」
売却で不安に感じやすいのは税金ですが、実は多くが事前に計算できるものです。
- 譲渡所得税(5年以上持っていれば税率は低め)
- 自宅なら3,000万円の特別控除が使える場合あり
※譲渡所得税には復興特別所得税が含まれており、2026年現在も課税が続いています。
売却のメリット
- 判断が一度で終わる
- 管理や修繕の負担がなくなる
- 将来の制度変更の影響を受けにくい
なお、売却時の控除と、新居の住宅ローン控除は同時に使えない場合があります。
「今の税金を減らすか」「将来の優遇を取るか」という選択になる点は、事前に確認が必要です。
放置するとどうなるか:時間とお金の関係
「まだ決めなくていい」と思っている間にも、コストは少しずつ積み重なります。
- 1年放置:管理費や税金がかかる
- 3年放置:修繕や空室が増えやすい
- 5年放置:売却価格が下がることも多い
待つこと自体がリスクになる場合もあります。
立地や築年数は最後に考える
- 都心でも赤字になる賃貸はある
- 地方でも早く売るのが正解とは限らない
大切なのは、数字が合っているかどうかです。
2026年時点で、早めに判断した方がいい人
先延ばしに向かないケース
- 住宅ローンが残っている
- 空室になる予定、またはすでに空室
- 相続が関係している
- 管理が十分にできていない
少し様子を見てもよいケース
- ローンなし
- 管理体制が整っている
- 実際にお金が残っている
最後に
売るか貸すかで迷うのは、自然なことです。家には感情や思い出がつきものですから。
ただし、税金や制度は待ってくれません。何も決めずに放置することが、結果的に一番高くつく選択になることもあります。
無理に答えを出す必要はありません。
まずは、ローン、税金、時間、家族の状況。
これを整理するだけで、選択肢は自然に見えてきます。



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